テーマ 197 戦略的に強みを活用する
■強みと成果
現代経営学の父と呼ばれるピーター・ドラッカー氏は、
下記のようにいろいろな著書の中で強みの重要性を説いています。
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人の強みではなく弱みに焦点を合わせる者をマネジメントの
地位につけてはならない。人のできることは何も見ず、
できないことはすべて正確に知っているという者は、
組織の文化を損なう。
「現代の経営」P.F.ドラッカー著 上田惇生(翻訳)
ダイヤモンド社 1966年1月19日発売
成果をあげるには、人の強みを生かさなければならない。
弱みからは何も生まれない。
「経営者の条件」P.F.ドラッカー著 野田 一夫,
川村 欣也(翻訳) ダイヤモンド社 1966年11月1日発売
人が何かを成し遂げるのは、強みによってのみである。
弱みはいくら強化しても平凡になることさえ疑わしい。
強みに集中し、卓越した成果をあげよ。
「マネジメント」P.F.ドラッカー著 野田一夫、
村上恒夫(監訳) ダイヤモンド社 1974年3月22日発売
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また、北海道大学大学院経済学研究院教授松尾睦氏は
DIAMOND online 2019年10月10日掲載の
「育て上手のマネジャーは部下をどのように指導しているのか」
の中で下記の様に述べております。
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「強みの心理学の父」といわれているドナルド・クリフトンは
「弱みを克服しても「-10」を「-4」にしか引き上げられない
のに対し、強みを伸ばせば、同じ努力量で「+10」を「+40」
にすることができる」と述べています。
ベストセラー「ストレングス・ファインダー2.0
(StrengthsFinder 2.0)」の著者であるトム・ラスも、
弱点を克服しようとする人に対して「いばらの道を選ぶな」
と警鐘を鳴らしています。
なお、ここでいう弱みは、いくら頑張っても完全に克服する
ことが難しい「先天的な弱み」を指します。
これに対し、一見弱みに見えるけれども、努力次第で強みに
なりうる「可能性のある弱み」、つまり「潜在的な強み」
もあることを認識しなければなりません。
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これらの見解から明らかなように、人は弱みよりも強みにおいて
こそ、その能力を最大限に発揮しやすく、
弱みを改善するよりも
強みを伸ばす方が、より効率的に成長を促せるといえます。
強みとエンゲージメントとの関係で、プレジデントオンライン
2024年2月13日立教大学ビジネススクール田中道昭教授の
「なぜ日本人は「仕事への熱意」が145カ国で最下位なのか…
日本人の「生産性」を高めるために必要なこと」
の記事の中に下記のようなものがあります。下記は記事の抜粋です。
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ギャラップ社が提供する「エンゲージメント・サーベイ」は、
わずか12個の質問(Q12)で社員のエンゲージメントを測定する。
「たった12個の質問で、エンゲージメントが本当にわかるのか?」
と疑う人もいるだろう。
だが、ギャラップ社の質問がたった12個であることには意味がある。
日米の企業で、マネジメントの発想に重要な違いがあることを
示す好例といってよい。
日米の違いは、エンゲージメント調査にも表れる。
ギャラップ社は、本質からズレた余計な質問は設けない。
エンゲージメントの中核は“個人の強み”にあると、
ターゲットを絞り込んでいるところに価値がある。
エンゲージメント・サーベイの精度が高いことは、
同社のデータベースで証明されている。例えば、
「Q12」で最もエンゲージメントが高いと診断されたチームは、
最も低いチームよりも離職率が43%低く、
品質上の欠陥も41%低いというデータがある。
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この記事からも社員の強みを活用することは、
エンゲージメントの向上にも役立つことが分かります。
■力を発揮しやすい強みに目を向ける
現代の厳しい競争環境において、企業の成長を実現するためには、
社員一人ひとりの弱点を補強することに多くの時間と労力を
費やすよりも、社員が持つ強みを最大限に集結させ、
それを磨き上げ、競合他社との競争優位性を
確立していくことの方が、成果を上げやすいことに
間違いはありません。
自身の強みが活かせる仕事は、社員にとって意欲的に、
そして主体的に取り組むことができるため、
結果として生産性の向上にも繋がります。しかしながら、
現実の職場においては、必ずしも部下の強みに完全に
合致する仕事ばかりを与えられるとは限りません。
このため管理職の方は、部下に仕事を与える際に、
その仕事が単独作業に向いているのか、
チームでの協働に適しているのか、
一つの仕事に集中して取り組むことを好むのか、
複数の仕事を同時並行で進めることに長けているのかなど、
「どのような業務内容」を、「どのような進め方」で行いたいのか、
部下の意見を丁寧にヒアリングし、その強みを活かせる形で
業務を割り振ることが求められます。
戦略的な目標設定や行動計画の策定を通じて、
部下の強みを仕事に結びつける視点が重要となります。
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